皆さん初めまして。2021年度から佐藤仁研究室に所属となったM1のNatsukiです。
今この記事をご覧になっている方は、佐藤研に入ろうか迷われている受験生が多いのかなと思い、今日の文章を書いています(かく言う私も1年前に佐藤研のブログを読んで入試対策の指針としたものでした)。
今日は、
「大学院入試に向けた受験勉強は、研究にどう生きてくるのか
…について書いていこうと思います。
・受験勉強は研究にどう生きてくるのか
今、受験勉強をしている中で「これを勉強して何になるんだろう」「私がやりたい研究とは関係ない受験科目がつらい」と思っている方はいませんか。
ちょうど2年前の私がそうでした。
大学院進学を志し入試勉強を始めた大学3年生の私は、「気候変動問題について専門性を身に着けたい」と思い、現在の国際協力学専攻の入試対策を始めました。
そこでぶち当たったのが、「入試に受かるためには《興味ないテーマ》まで勉強しないといけない…」という問題。
気候変動に熱い思いを抱いている私にとって、それ以外を学ぶことは遠回りに思えて…。当時は、農村開発や貧困の経済学などに全くの興味がなかったので、"入試に受かるためだけの"勉強は本当に苦痛でした。
しかし、受験を終え、「《興味ないテーマ》に真正面から向き合うことには(「入試合格に近づく」というのは抜きにして)2つの利点がある」との結論に至りました。
・受験勉強を「興味の検証」の過程にしよう
1つ目は「本当に、心の底から興味がないのか、検証することができる」こと。
何かに対して「興味が湧かないなあ」と思っている時、
①本当に相性が悪い、②実はあんまりよく知らない、の2種類に分かれると思います。
先の例でいうと、農村開発は私にとって②でした。
THE 田舎!みたいな場所で生活したことがない私にとって「農村」という領域はあまりにも縁遠い存在。また、開発=都市化(?)という安直なイメージしか持っていなかったので、
「農村の都市化…?うーん面白くなさそう」と、勝手に《興味なし》カテゴリーに放り込んでいたのです。
でも実際、入試に際して農村にまつわる論文や書籍を読んでいくと、気候変動に直接関係してくる分野もいっぱいあることに気が付きました。
例えば、アグロフォレストリー(Agroforestry)。
農業(agriculture)+林業(forestry)が結合された言葉で、森林の育成に視点を置きながら農業をすることを目指す概念です。
これは、CO2の吸収源としての森林を育てながら農業ができるもの。それゆえに気候変動にもダイレクトに結びついてくる取り組みです。私はこれに、非常に心惹かれました。
と同時に、農村と気候変動という、農村をよく知らなかった私には見抜けない関係性に気付くことができました。つまり入試勉強は、「強制的に視野を広げる」ことに一躍買ってくれるのです。
・受験勉強は「思わぬ発想」を支えてくれる
2つ目は「思わぬ発想が得られる」こと。
気候変動に注目している私ですが、先日研究とは全く無関係の本『持統天皇』(瀧浪貞子)という本に出会いました。
この本は日本の古代史の女帝・持統天皇を描いた本なのですが、著者は史料を丹念に読み込み、なかなか想像の及びづらい古代史に大きなストーリーを描いています。
これを読んでいて、私の中で、「研究とは何か…」という最近考え続けている問いに繋がりました。
著者は、歴史研究家として史料を読み込み、可能な限り歴史的証拠に依拠しながら、文献などで証拠が確保できない場所を大きなストーリーで埋め、古代史を研究しています。ふと思ったのが、「…この営みって、専門家にしか許されないことだよなぁ、」ということ。
史料を読まない(読めない)素人が、証拠の揃っていない部分に勝手にストーリーを描けば、それは単なる妄想で終わります。
でも、どれぐらい史料を読み込めば「読み込んだ」「専門家」として認められているのでしょうか?
そう考えた時、研究と妄想の境界線ってどこだろう、という考えに至りました。
話を発想に戻しましょう。この「研究と妄想の境界線」という視点は、研究テーマと全く無関係の『持統天皇』を読んで得られたものです。
おそらく「研究とはなにか」に関する指南書のようなものを読んでいただけでは、得られなかった発想だと私は思っています。
敢えて無関係なところに足を突っ込んでみることで、自分の思考を多面的にできる。この作業ができる典型的な場所がまさに「《興味ないテーマ》の受験勉強」ではないでしょうか。
(受験勉強だったら、自動的に逃げ道も塞いでくれますしね…)
・無駄な勉強なんて、この世にはない。
もしも今やっている勉強に意味を見出せなかったときは、これを思い出してください。
「無駄な勉強なんてこの世にはない。生かすも殺すも自分次第。」
きっと努力は実ります。路頭に迷ったときは先輩や先生と相談したり、悩みを書き出してみたり、とにかく手を動かすといいと思います。
特に、積極的に「教授とのアポイントをとる」ことをしてみてください。どの先生方も、「大学院で学びたい」との意欲がある学生とのコミュニケーションをしっかり取ってくださいます。
私も世界のどこかで応援しています!!
Natsuki
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