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2年間の大学院生活を終えて


佐藤研学生ブログを読んでくださっている皆さま、こんにちは。

今年の春に卒業したMinamiです。本日のブログでは私が2年間の大学院生活を終え、社会人になったばかりの今何を思うのかを書いていこうと思います。最後までお付き合い頂けますと幸いです。


私は大学に入学した時点では自分が大学院に進学することなど夢にも考えていませんでした。文系である自分は卒業後どこかの民間企業に就職するんだろうなと漠然と感じていました。そんな私がなぜ大学院を志したのか、そしてコロナ禍ど真ん中の2020年~2022年に大学院に在籍していた身として何を考えどう過ごしていたのかを述べたいと思います。


私が大学院を志すようになったのは、大学時代に恩師と出会い所謂「ガチゼミ」で学び始めてからです。大学受験に失敗し不貞腐れていた私は、ある先生の授業を取って雷に打たれたような衝撃を受けました。その先生のゼミは私がそれまで関心を抱いていた「国際協力」の解像度をぐっと引き上げてくださいました。善意で始まったはずの支援が現地で迷惑がられることが多々ある、科学的な知見を用いて衛生的な水の管理を指導しても必ずしも現地の人びとに受け入れられるわけではない、国連機関が成功したと自称しているプロジェクトは現地では認識すらされていなかったなど、様々な事例やトピックを用いて国際協力の奥深さや上手くいかなさを学びました。常識や思い込みがいかに自分の視野を狭めて認知をゆがめているのかを知り、議論することの楽しさや大量の文献に触れることの贅沢さを体感しました。

この強烈な原体験が元となり、国際協力を仕事にしてみたいと考えるようになった私はどんな分野を扱い組織を目指すにせよ修士号の取得は必須であることを知ります。こうして大学3年の冬、大学院進学は現実的な選択肢として私の中に組み込まれていきました。


このように意気込んでいた私ですが、大学4年次インターンや卒論、院試の勉強、普段のゼミなどで忙殺され心身を壊しかけました。パソコンの画面を見ているだけで涙が止まらなくなる、夜眠れない日が何日も続く、何をしていても喜びや楽しさを感じなくなる、食べ物の味がしなくなる、今まで当たり前に出来ていたことが出来なくなる。

卒論も思ったように上手く書けずすっかり自分に自信を無くしていました。そんな状態で大学院に進学し、緊急事態宣言が発令され世界は様変わりします。マスク無しでの外出、飲み会や会食が出来なくなりオンライン授業が始まりました。どうせすぐ対面の授業が始まるだろうと高をくくっていたのですが、結局2年間で受講した対面の講義は1回きり。卒業式でやっと初めて対面する同期も多く、極めて帰属意識の希薄な2年間でした。


しかし、大学院に進学して良かった、間違っていなかったと卒業した今は思えます。主な理由は3つあります。

第1に、開発や発展に対し深く考えられるようになった自分自身の成長です。特に、学生ブログでも触れられていますが佐藤先生の「開発研究」という授業を受けるだけでも東大の大学院に来た意味はあると思っています。この授業を受けて、開発や国際協力というものがどこか遠くの国で行われる行為ではなく、私たちの日常生活の延長線上にある行為であり、長い時間紡がれてきた人類史の重要な一部であることを感じました。経済学、農学、政治学、哲学、考古学、文化人類学等いくつもの学問分野と繋がっている開発や発展は、大学院で学ぶにはもってこいの深淵な領域であると思います。

第2に恐らくコロナ前ほどではありませんが様々なバックグラウンドを持つ学生と関わりを持てたことです。本専攻の大学院生は大学卒業後ストレートで入学される方もいれば、社会人の方も多くいらっしゃいます。前職で国際協力と関連のあることをやっていらした方もそうでない方もおり、バラエティに富んだ経歴を持つ方々と共に学べたことは人生に良い影響をもたらしてくれたと思います。また、好奇心旺盛で行動力があり、志も高い方も多いように感じますので、そういった学生から刺激を貰いたい!という方であれば進学して損しないと思います。

第3に自分の進路について考える時間や選択肢が増えたことです。よく文系大学院生は就活に苦労するなどと言われていますが、入学してみて全くそのようなことは感じませんでした。学部生の就活と何も変わることはなく、むしろ学んでいたことや取り組んだ課外活動によっては学部生より高く評価されていると感じたことの方が多いです。上述したように本専攻では多様な経歴を持つ学生がいらっしゃいますので、彼らから進路に関する新たな選択肢を教えてもらえることもあります。また、国際協力や開発の分野では新卒での就職が中々難しいとされていますが、開発コンサルタントやJICAなどは院生でも採用してくれる場合が多くあり学部生よりチャンスが増えると思います。2年間という短い期間ではありますが、学部生よりは進路について考える時間が増えるので納得いくキャリアを形成したい人にとってもおススメ出来ます。

最後に、これは私の場合ではありますがオンライン授業だからこそ自分のプライベートの時間を確保しやすく心身の回復に役立ったように感じます。私のように大学院進学に不安を覚えている人に伝えたいのは、卒業はほぼ確実に出来るから安心して目の前のやるべきことに全力で取り組んで欲しいということです。例え周囲が優秀な人だらけでも、自分の夢を見失うことなく、出来るときに出来る努力をしておけば十分だと思います。


長くなりましたが以上になります。

最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました!

佐藤研の皆様、また近いうちにお会いしましょう:)

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